その他の作品
2020.04.24 ~ 2020.12.10
2020年に「学芸員のイッピン!」で紹介された作品をまとめました!
熊本県立美術館に常設されている作品や、
展覧会で展示された貴重なあの作品もあるかも!?
大塚耕二《天文学的作品》
30歳の若さで戦死した画家・大塚耕二の作品。
地面に転がるのは一輪挿しだろうか。
一輪挿しから解き放たれた星が、空に舞っているようにも見える。
なお、本作品は担当学芸員からこう呼ばれている。「ちくわ」と。
アルブレヒト・デューラー《メランコリアⅠ》
ルネサンスの欧州では、人間は体液のバランスで性格が決まると考えられていた。
デューラーは自分がメランコリア(憂鬱質)だと思っていたらしい。
血液型占いとか動物占いとか、いつの世も人間は分類したがるもの。
《領内名勝図巻》
18世紀末に肥後各地の山や滝、海辺の風景を15巻の巻物に描いた作品。
これは県南の現芦北町湯浦の風景。
ところで、肥後の海に現れたという「アマビエ」は、こういったところに住んでたのでしょうか?
《青銅剣》モンゴル・オルドス出土
とっても珍しいモノ。
2千年以上前、モンゴル高原を支配した騎馬民族「匈奴(きょうど)」が用いていたそうな。
大考古学者江上波夫さん(ご先祖が山鹿出身)が収集し寄贈くださった。鞘に刻まれた細やかな虎の文様がわかるかな?
れつ ほう さく
高橋廣湖《烈封冊》
「ぐぬぬぬ…明の奴らめ!」
「(…うわ、関白様怒ってる…)」
熊本県山鹿市出身の高橋廣湖は、横山大観らと同時期に活躍した日本画家。登場人物の感情と関係性を描くのに長けていたようだ。もっと評価されてよい画家である。
あお と ふじ つなたんせん ず
高橋廣湖《青砥藤綱探銭図》
「銭五十文で松明買うてきたぞ!照らしたるから落とした銭十文、川底さらって探せ!」
「落としたのアンタやん…てか松明の方が高くね?」
本当はもう少し続きがあるが、すごく単純化するとそんな作品。
伝矢野吉重
《松に虎・竹に虎図屏風》
細川家御用絵師の矢野吉重によって描かれたと伝わる金屏風。虎と豹に見えるが、当時の日本では豹は虎のメスと信じられていたため、虎の雄と雌として描かれている。
《巴螺鈿鞍》
鎌倉時代につくられた乗馬用の鞍(くら)。
白く輝いてみえるのは、「ヤコウガイ」の貝殻を文様の形に薄く切ってはめ込んだもの。
とても高価な装飾なので、使用者は身分の高い人物だったことがわかる。ちなみに当館が所蔵する唯一の重文作品。
《細川ガラシャ消息》
数奇な運命に翻弄されながらも、毅然と生きた細川ガラシャ。肉声ともいえる消息(手紙)は現在17通が確認されている。本文書は甥・三宅藤兵衛に宛てたもので、母の如く藤兵衛を心配するガラシャの様子がわかる。
オーギュスト・ロダン《接吻》
ブロンズ像は、物理的には鋳型がある限り作れるけれど、作家は制作数に制限をかけるなどして、作品のオリジナリティを保っている。
当館の《接吻》は、ロダンが生前自ら鋳造した5体のうちの1体。貴重なイッピン!
かわなべきょうさい うしわかまるず
河鍋暁斎《牛若丸図》
浄瑠璃姫と牛若丸の物語の一場面。
笛を吹く牛若丸の、あどけなくもどこか妖艶な表情と華麗で細密な模様の衣装が見事。
≪黒糸威横矧二枚胴具足≫
細川忠興が関ケ原の合戦で着用した甲冑。
忠興が考案した独自の形式で、とにかく「軽くて動きやすい!」のが特徴。
頭頂に山鳥の尾羽を立てるのがポイント。
黒を基調とした配色もシンプルでスタイリッシュ。
《秋山玉山自画自賛》
秋山玉山(あきやまぎょくざん)は、熊本藩の藩校設立に尽力した偉人。
本作は自画像を描いて言葉を書したもの。
自分を「五尺の無能の小柄な男」と謙遜し、美女とお酒が大好きと書いている。
玉山のチャーミングな一面がわかる面白い作品。
宮本武蔵筆《独行道》
剣術の達人として有名な宮本武蔵。これは武蔵自ら書したもので、「独りの行ないの道」、ただひとりで行なってきた自らの生き方や戒め、また願望等を箇条書きにしたもの。
武蔵の自筆の書は少なく、たいへん貴重な作品。
松本喜三郎≪黄玄朴像≫
熊本出身の生人形師・喜三郎がてがけた肖像彫刻。モデルはご近所に住んでいた漢方医・黄玄朴(おう・げんぼく)さん。
黄さんの知り合いの話によると「本人そっくり!」だそう。
せごんこう
《千金甲古墳》
有明海を見下ろす権現山の中腹にある装飾古墳の石室のレプリカ。
同心円や矢筒をかたどった文様が刻まれている。
装飾古墳といわれると文様や色が気になるけど、小さな石をいくつも重ねて部屋を作る技術も必見。
《井寺古墳石室》
熊本市嘉島町にある古墳のレプリカ。
熊本地震で被災して入れなくなってしまった。
最初に調査されたのはなんと江戸時代!
発見物から村の庄屋を通じて熊本藩の殿様まで報告がいったそうな。幾何学文にご注目!
白隠《鍾馗図》
永青文庫蔵 鍾馗は疫病退散の神として江戸時代に広く描かれ、
当館にも北斎による作品があります。
しかし、この白隠の鍾馗は、水に映った自分の顔を見てその迫力に肝を冷やしたという、ユーモラスな場面が描かれています。 。
《石造菩薩像頭部》
現在のアフガニスタンやパキスタンに相当する地にあった国ガンダーラで作られた菩薩像です。ガンダーラは、世界で初めて仏像を制作した地とも言われ、日本の仏像とは違い、ウェーブ状の髪や彫りの深い顔立ちが特徴的です。