2020.05.16 ~ 2020.07.05
2019年12月から本館の改修工事を行った熊本県立美術館。特に本館2階の第2展示室の第2室では、1976年の開館当時のままだった壁付ケースや照明を一新しました。本展はその新設備を使るする初めての展覧会です。
熊本県立美術館の所蔵品と寄託品は、おもに熊本にゆかりある古今東西の美術品で構成されています。本展は、美術館コレクション展として、刀剣[わざモン]、陶磁器[やきモン]、西洋絵画[洋モン]をご紹介します。
葛飾北斎《鍾馗図(しょうきず)》
北斎の67歳の作品で、筆線の鋭さと体躯のプロポーションが秀逸。鍾馗は、唐の玄宗皇帝の病中に夢に出て悪鬼を退治したら病気が治ったという伝説から、魔よけの神として信仰されてきた。ぜひコロナも退治していただきたい。
オーギュスト・ルノワール
《胸に花を飾る少女》
このガブリエルさんは、ルノワールの絵で200回以上モデルを務めた。
あと、ルノワール宅に住込みで、家事も育児も絵の手伝いもした。
超多忙…もしかしたら、彼女は今日の献立でも考えている、かもしれない。
どうだぬきまさくに
《刀 銘 九州肥後同田貫正国》
16世紀後半、現在の菊池市一帯にとある刀工集団が登場しました。加藤清正のお抱え刀工となる同田貫派です。折れず、曲がらずという実用本位の作風に、他の刀にはない重量感が特徴です。
よねみつ たへい かげちょうすかしからくさずつば
米光太平 作《影蝶透唐草図鐔》
作者は肥後象嵌(ぞうがん)の名工にして人間国宝。
直径8cm手のひらサイズの鐔に透かしで蝶をあらわし、微細な金で桜や植物文を表現しています。
網田焼≪梅花形香合≫
梅花をかたどった白色の磁器。
器をおおう釉薬(ゆうやく)は透明で、くぼみに溜まった部分がわずかに水色がかってみえるのが美しい。
宇土の網田で生産された網田焼(おうだやき)の名品。
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《キューピッド》
「かわいい顔してるけど、矢じりはけっこう鋭いゼ。翼も塗りつぶされてるしな。ホラ、よく見りゃ構図が三角形だろ?」
大塚耕二《トリリート》
本作品の空と水の浅い青色は、画面の大部分を占める大事な色。熊本県菊池市出身の大塚は、青色をよく用いた。大塚によれば、澄んだ青色を出すにはセルリアン・ブルー(わずかに緑味のある空色)の使い方が鍵だという。
宮嶋羊邨《戦蹟(中支上海開化)》
宮嶋は近代熊本美術界の発展に貢献した画家。
本作品は第二次上海事変を描いたと考えられるもので、同時代の歴史を記録したイッピン。
近年熊本県庁で再発見されたが、なぜ県庁にあったのかは、現在調査中。
ジュール・パスキン
《果物籠をもつジュヌヴィエーヴ》
パリで活躍した画家パスキン。
本作品はごく淡く施された色が印象的。
しかし、パスキンは「自分の才能は素描に現れている」と言うほど線の表現が得意で、要所を押さえた輪郭線も見どころ。
野田英夫《夏の省線ホーム》
赤子をおんぶすると背中が蒸れる。
夏ならばなおさら。
画面右上の人物は男性だろうか。
1939年の作品だが、イクメンは当時からいた
ということにしたい。
彼がなぜ瓜を抱えているのかは、
恐らく永遠の謎である。
坂本善三《春》
「ほお、ゼンゾー先生はぎゃん絵も描いとったつかい!」そんな声が時々聞かれるイッピン。
熊本を代表する画家・坂本善三の初期作品で、
今から80年以上前に熊本でも展示されてるんです。
当時ご覧になった方、おられませんか?